スーパーカブ50が旅に向いている3つの理由

僕は今、スーパーカブ50に乗って日本中を旅している。神奈川県から出発し、太平洋側を北上して北海道一周を成し遂げ、更に日本海側を下って四国を周り、今日日本本土の最南端である佐多岬に到着した。
「スーパーカブ50と金澤」

かれこれ50日あまり旅をしていると、当然旅人によく出会う。境遇の同じ彼らとはよく話をするのだが、50ccのバイク(原付)で日本一周をしていると知ると皆大層驚き、関心してくれる。
「50ccで日本一周」ということにピンとこない人もいると思うので例をだすと、桃太郎が犬猿雉を連れずに旅に出るようなものだ。サトシがピカチュウ一匹でポケモンマスターを目指すようなものだ。多分。違うかも知れん。
確かにスピードは遅いし高速にも乗れない、車の流れにも乗れないから狭い道で追い抜かれる時はいつもヒヤヒヤしている。
しかし、そんな50ccバイクだが、スーパーカブで旅をする者は少なくない。いや少ないが、少なからず、かつ多からず存在する。
では彼らは何故スーパーカブを選ぶのか、スーパーカブで旅をする事の利点は何なのかということを述べたいと思う。


壊れない、低燃費

ホンダのスーパーカブは「世界のカブ」とも呼ばれるほど1958年のリリースから世界で絶大な人気を博している。その人気の理由を、言い尽くされてはいるがサブタイトルの2点で説明しよう。
まず耐久性が異常に高い。走っても走っても走っても、オイル交換さえきちんとすれば壊れない。殴っても、高いところから落としても壊れない。ガソリンの代わりにサラダ油を入れても走るといった伝説まであるほどだ。
次に燃費だ。新品のカブであれば、状況次第で1リットル100キロは走ると言われている。ガソリン代120円で、山手線3周できる計算だ。24時間マラソンを完走できる計算だ。ちなみに今日あった1200ccに乗っている人は、リッター15キロと言っていた。極端な例だが、これと比べると如何にカブが低燃費かというとこが分かるだろう。長旅には欠かせないこの2つの要素をカブは持っているのだ。


土地への溶け込みやすさ

日本を走るバイクは数あれど、国民が最も多く目にしているのは間違いなくスーパーカブであろう。まだこの段階でスーパーカブがどんなバイクかというイメージが付いてない方も多いと思うので簡単に説明すると、郵便屋さんが乗っているアレである。即座に頭に思い浮かんだのではないだろうか。日本全国回って来たが、やはりどの街にも郵便屋さんはいて、彼らはカブに乗っている。こんなにも日本国民に馴染み深く、生活に溶け込んでいるバイクは他にないだろう。
その生活への、土地への溶け込みやすさは旅には欠かせないものだ。知らない土地に行くと、やはり自分がよそ者であると言うことを自他共に認識し、されてしまう。これはある種のストレスだと僕は感じているのだが、カブのこの力のおかげでそのような感覚は随分弱まっているように感じられる。
走っている私は、どこもまるで自分の故郷を走っているように感じられ、また住人からも、そういった態度で迎えられる。スーパーに停車していると、何気なく近所の住人が話しかけてくれ、おすすめのスポットなどが知れたりするのもカブのおかげではないだろうか。


より土地を感じられる

土地を感じるとはどういうことか、一言で表すのは大変難しい。風を感じたり、牧場から漂う香ばしい匂いを嗅いだり、動物の声や人々のざわめきを聞いたり、簡単にいうと五感で味わうということなのかも知れない。
カブの遅さと小回りのよさはそれらに適しているということに最近気づいた。まず香りや風を感じるのはバイク全般に言えることだが、音となると、排気量の大きいものになるとエンジン音でなにも聞こえなくなってしまう。カブの静けさ(といってもそこそこうるさいのだが)は音を感じるのに持ってこいだ。
また、何か気になるものとすれ違ったりした際にすぐ立ち止まりバック出来るのも小さなバイクならではの利点だろう。
そのように、いった先々の土地を感じて深堀りできるのがカブの魅力であるといえよう。


主に以上の3点が、僕が思う、スーパーカブ50が旅に向いている3つの理由だ。

金澤

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